siseiryu美術館・博物館放浪記

今までに観に行った美術館・博物館などの記録です。

♯173 生誕120年 イスラエル博物館所蔵 ミラクルエッシャー展


観 覧 日 : 2018年6月10日


会  場 : 上野の森美術館


H  P : http://www.ueno-mori.org/exhibitions/article.cgi?id=857622


展示作品 : 生誕120年 イスラエル博物館所蔵 ミラクエッシャー


期  間 : 2018年6月6日 〜 7月29日


料  金 : 1,600円 ・ 図録 2,700円


総展示作品数 : 152点  (内説明あり)49点


セクション(構成) : 9区画

            1.科学 Scientific Explorations

            2.聖書 Legend and Religion

            3.風景 Landscapes

            4.人物 The Human Figure

            5.広告 Applied Graphic Designs

            6.技法 Techniques and their Secrets

            7.反射 Reflections

            8.錯視 Optical lllusions

             Epilogue.循環する世界

感想 :

「だまし絵(トロンプ・ルイユ)」で知られる20世紀を代表する奇想の版画家、マウリッツ・コルネリス・エッシャ−(1898-1972)。
コンピュータのない時代に「版画」で作られた緻密かつ独創的で"ミラクル"な作品は、数学者や建築家といった幅広い専門家やクリエイターに影響を与え、今もなお多くの人々を魅了し続けています。


生誕120年を記念し開催する本展では、世界最大級のエッシャーコレクションを誇るイスラエル博物館から選りすぐりの約150点を日本初公開。実際にありそうで、現実的にはない風景である《滝》、ぐるぐると歩いているかのようでつながっていない《相対性》など代表作のほか、代表的なだまし絵の作品に加え、初期の作品や木版、直筆のドローイングなどから、エッシャーが唯一無二と評される作品を生み出す過程を、【8つのキーワード】を通じて紐解いていきます。


デジタル時代の今だからこそ、「版画」にこだわり続けたエッシャーの偉業を再認識できる貴重な機会となることでしょう。


1.エッシャーと『科学』
エッシャーの版画では、特定のモティーフが反復しながら循環したり、ときにタイル状に埋め尽されるなど、幾何学的な独自の表現が用いられています。エッシャーはこれらの表現を生み出すために、同時代の「科学」から着想を受け、独自の数学的な理論を発展させました。
この章では、エッシャー版画に現れるさまざまな幾何学的表現を紹介します。


2.エッシャーと『聖書』
この章では、若い頃エッシャーが描いたキリスト教主題の版画を取り上げます。旧約聖書創世記を扱った連作には、19世紀後半から20世紀初頭にヨーロッパで流行したアール・デコ様式からの影響を見ることができます。


3.エッシャーと『風景』
エッシャー独特の、写実的かつ不可思議な印象を与えるイメージの源泉となったのは、彼の風景体験でした。1920年代からイタリア、スペイン旅行、特にアルハンブラ宮殿での幾何学な装飾模様との出会いは、後のパターン化されたモティーフ表現の原点となりました。そして地中海を描いたピクチャレスクな風景版画は、後に登場する視覚的な実験を先取りしたものとなっています。


4.エッシャーと『人物』
エッシャー版画に登場する人物像は、しばしば反復されるパターンのモティーフの一つとして画面に登場しますが、初期のエッシャーは、単身の人物表現にも取り組んでいます。この章で紹介する人物像の多くは、家族や近しい人々を扱っていますが、同時に自分自身の姿もさまざまな方法でモティーフとしていました。


5.エッシャーと『広告』
エッシャーの造形は商業デザインにも登場します。この章では、商用として利用されたイメージとともに、エッシャーらしさが凝縮された小さなグリーティングカードもご紹介します。


6.エッシャーと『技法』
自らを「芸術家」ではなく「版画家」と考えていたエッシャーは、木版、木口木版、リトグラフ、そしてメゾティントなどさまざまな版画技法に取り組み、それらの技法を高度に発展させ、時に複数の技法を統合させながら、不可思議な世界を繊細な彫りと印刷で実現し、不可思議な版画空間を作り出しました。この章では、多種多様な作例、マテリアルとともにエッシャーの版画技法を紹介します。


7.エッシャーと『反射』(鏡面イメージ)
エッシャーの作り出す不可思議な世界の特徴の一つが、「鏡面」のイメージです。鏡像を用いた絵画は、ヨーロッパでは近代以前から数多く描かれました。エッシャーもまた、現実世界にあるモティーフ/人物像と、仮想世界としての鏡像の共存するイメージを描くことに夢中になっていたのです。


8.エッシャーと『錯視』
エッシャー芸術を代表する要素が、実現不可能な建築表現や、永遠に変化し続けるパターンを描いたイメージなどの「ありえない世界」です。この独創的な表現は、当時の数学者が発表した不可能な図形に着想を得たものもあり、正則分割を用いた循環する表現とともに、エッシャーが長年にわたり独自発展させた理論が形になったものです。


Epilogue.循環する世界
エッシャーが1939-40年に生み出した大作《メタモルフォーゼⅡ》。文字から始まり、様々な形態が変容しながら循環し続け、やがて最初の文字へと戻るこの表現は、エッシャー芸術の極点を示しています。


錯視といえばエッシャー
♯002や♯106でも観ていますがその精緻さと錯視を起こす模様はさすがの一言ですね。
今回はありませんでしたが、以前観た展示でとても印象に残っているのは実際に錯視の作品を立体化し、一定の位置から観ると展示作品と同じに観えるという展示がされていました。
また、展示されれば観たいと思います。


バベルの塔》1928年


《滝》1961年


特設HP:http://www.escher.jp/


マウリッツ・エッシャーについて詳しく知りたい方は、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%A6%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%84%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%BC
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次回の更新は11月中旬頃を予定しております。

♯172 ルーブル美術館展 肖像芸術−人は人をどう表現してきたか


観 覧 日 : 2018年6月10日


会  場 : 国立新美術館


H  P : http://www.nact.jp/exhibition_special/2018/louvre2018/


展示作品 : ルーヴル美術館展 肖像芸術——人は人をどう表現してきたか


期  間 : 2018年5月30日 〜 9月3日


料  金 : 1,600円 ・ 図録 2,500円


総展示作品数 : 112点  (内説明あり)50点


セクション(構成) : プロローグ:マスク−肖像の起源 

            1.記憶のための肖像
            
              1a 自身の像を神に捧げる−信心の証しとしての肖像

              1b 古代の葬礼肖像−故人の在りし面影をとどめる

              1c 近代の葬礼肖像−高貴さと英雄性

            2.権力の顔

              2a 男性の権力者−伝統の力 

              幕間劇Ⅰ

               持ち運ばれ、拡散する肖像−古代の硬貨から17世紀ムガル朝インドのミニアチュールまで

              2b 権威ある女性

              2c 精神の権威−詩人、文筆家、哲学者

              幕間劇Ⅱ

               持ち運ばれ、拡散する肖像−フランス国王ルイ18世のミニアチュール・コレクション

            3.コードとモード

              3a 男性の肖像−伝統と刷新

              3b 女性の肖像−伝統と刷新

              3c 子どもと家族

              3d 自己に向き合う芸術家−啓蒙の世紀の3つの例

            エピローグ:アルチンボルド−肖像の遊びと変容


感想 :

人の似姿を描出する肖像は、古代以来の長い歴史をもつ芸術ジャンルです。
本展は、ルーヴル美術館の全8部門から選りすぐられた約110点の作品を通して、肖像の社会的役割や表現上の様々な特質を浮き彫りにします。27年ぶりに来日するヴェネツィアの巨匠ヴェロネーゼの傑作《女性の肖像》、通称《美しきナーニ》から、古代エジプトの棺を飾ったマスク、ローマ皇帝やナポレオンなどの君主像、そして華麗な女性や愛らしい子どもたちの肖像まで、数々の肖像の名品が一堂に会します。


1.史上空前! 古代から19 世紀まで、「肖像芸術」の特質と魅力をひもとく本格的な展覧会
人の似姿を描く肖像は、スマートフォンの高性能カメラで意のままに自分を撮ることが当たり前となった現代社会において、いまや最も身近な芸術といえるかもしれません。しかし一方で、肖像は最も長い歴史を持つ芸術ジャンルでもあります。本展では、3000年以上も前の古代メソポタミアの彫像や古代エジプトのマスクから19世紀ヨーロッパの絵画・彫刻まで、きわめて広範にわたる時代・地域の作品を対象としながら、肖像が担ってきた社会的役割や表現上の特質を浮き彫りにします。身近でありながら、奥深い肖像芸術の魅力に迫る本格的な展覧会です。


2.ルーヴル全8部門が総力を結集!各部門を代表する肖像の傑作およそ110点が一堂に
本展は、ルーヴル美術館の全 8 部門−古代オリエント美術、古代エジプト美術、古代ギリシャエトルリア・ローマ美術、イスラム美術、絵画、彫刻、美術工芸品、素描・版画−が総力をあげた企画です。各部門を代表する肖像の傑作およそ110点を一挙に堪能できる、きわめて貴重な機会となります。


3.ルーヴルが誇る肖像画の至宝《美しきナーニ》、27年ぶりの来日
16世紀ヴェネツィア派の巨匠ヴェロネーゼによる《美しきナーニ》は、ルーヴル美術館が所蔵する数々のルネサンス肖像画のなかでも、最高傑作の一つとして名高い作品です。この至高の肖像画が、このたび27年ぶりに来日を果たします。


4.必見! 時の権力者ナポレオンの肖像
本展では、古代エジプトのアメンヘテプ3世、マケドニアアレクサンドロス大王アウグストゥス帝やカラカラ帝などのローマ皇帝ルイ14世をはじめとする歴代のフランス国王、そしてフランス王妃マリー=アントワネットなど、歴史を彩った時の権力者たちの肖像が一堂に会します。なかでも大きなみどころとなるのが、フランス皇帝として名を馳せたナポレオンのコーナーです。将軍時代を経て、皇帝として最高権力を手にしながらも、追放先の孤島で孤独な最期を迎えることになったナポレオン。その激動の人生を、アントワーヌ=ジャン・グロの傑作《アルコレ橋のボナパルト(1796年11月17日)》をはじめとする5点の作品でたどります。


今回は肖像をメインとした企画展でした。
様々な種類の肖像が展示されており歴史を感じました。
ただ、最後のアルチンボルドは最近何度も観ているような気がします・・・


《棺に由来するマスク》


《ボスコレアーレの至宝 エンブレマ型杯》


ジャック=ルイ・ダヴィッドと工房《マラーの死》


アントワーヌ=ジャン・グロ《アルコレ橋のボナパルト(1796年11月17日)》


フランチェスコ・アントンマルキ《ナポレオン1世デスマスク


セーヴル王立磁器製作所(ルイ=シモン・ボワゾの原作に基づく)《フランス王妃マリー=アントワネットの胸像》


セーヴル王立磁器製作所《国王の嗅ぎタバコ入れの小箱》とマリー=ヴィクトワール・ジャコト《「国王の嗅ぎタバコ入れ」のためのミニアチュール48点》


ヴェロネーゼ《女性の肖像》、通称《美しきナーニ》


エリザベート・ルイーズ・ヴィジェ・ル・ブラン《エカチェリーナ・ヴァシリエヴナ・スカヴロンスキー伯爵夫人の肖像》


フランツ・クサファー・メッサーシュミット《性格表現の頭像》


ジュゼッペ・アルチンボルド《春》


展覧会ホームページ:http://www.ntv.co.jp/louvre2018


ルーヴル美術館について詳しく知りたい方は、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%83%AB%E7%BE%8E%E8%A1%93%E9%A4%A8
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次回の更新は10月中旬頃を予定しております。

♯171 人体−神秘への挑戦−


観 覧 日 : 2018年3月21日


会  場 : 国立科学博物館


H  P : http://www.kahaku.go.jp/exhibitions/ueno/special/2018/jintai/


展示作品 : 人体−神秘への挑戦−


期  間 : 2018年3月13日 〜 6月17日


料  金 : 1,600円 ・ 図録 2,300円


セクション(構成) : 区画

            第1章 人体理解へのプロローグ

            第2章 現代の人体理解とその歴史

             2−1 循環器系・泌尿器系

             2−2 神経系

             2−3 消化器系・呼吸器系

             2−4 運動器系

             2−5 人体の発生と成長

             人体4Kシアター

             NHKスペシャル 人体 神秘の巨大ネットワーク 

             ネットワークシンフォニー 

             体内美術館

            第3章 人体理解の将来へ向けて


☆五つを満点とする


 評価  ☆☆☆☆


感想 :

汝、自身を知る。
それは、
人類が挑み続ける
永遠の謎。

私たちの体は、神秘に満ちています。


自らを生かし、動かすものの仕組みを理解するために、人類は多くの挑戦を重ねてきました。
本展覧会では、ルネサンス時代以降の先人たちの努力の歴史と功績を振り返りながら、人体の構造と機能を解説するとともに、それが最先端の研究でどのように変わりつつあるのかを紹介していました。


そもそも人体を理解するということとは――。それは進化の文脈の中で語られることもあれば、機械になぞらえて、構造と機能の関係の中で理解されることもあります。様々な科学の領域が常に発展を続ける中で、これまでに多くの解釈が生まれ、顕微鏡をはじめとする機器の発明や技術の進歩もまた、人類の認知の限界を拡大してきました。
人体研究の歴史は、科学の発達の縮図なのです。
そして人体理解の道筋をたどることで、その本質も概観できるのです。最も身近でありながら、最も奥深い、「人体」の世界を楽しむことが出来たと思います。


キンストレーキオランダ語で「人造死体」、ちなみに紙粘土製です。


レオナルド・ダ・ヴィンチ【右】「解剖手稿」より頭部断面,脳と眼の結びつき部分【左】「解剖手稿」より消化管と腎臓、そして尿管部分


アンドレアス・ヴェサリウス『ファブリカ』


【左】「キンストレーキ」(女性)【右】「キンストレーキ」(男性)


【左】レーウェンフックの単式顕微鏡【右】18世紀の複式顕微鏡


腎臓の糸球体〔顕微鏡画像〕



公式ページ:http://jintai2018.jp/


次回の更新は9月中旬頃を予定しております。

♯170 創刊50周年記念 週刊少年ジャンプ展VOL.2 −1990年代、発行部数653万部の衝撃−


観 覧 日 : 2018年3月21日


会  場 : 森アーツセンターギャラリー


H  P : https://macg.roppongihills.com/jp/exhibitions/610/index.html


展示作品 : 創刊50周年記念 週刊少年ジャンプ展VOL.2 −1990年代、発行部数653万部の衝撃−


期  間 : 2018年3月19日 〜 6月17日


料  金 : 2,000円 ・ 図録 3,500円


セクション(構成) : 7区画

            ・Back to 90's 

            ・Jump Lightning

            ・Jump All Star Road Ⅰ

            ・Jump Tornado

            ・Jump All Star Road Ⅱ

            ・Jump to 2000s

            ・Special Photo Spot etc...


☆五つを満点とする


 評価  ☆☆☆☆☆


感想 :

週刊少年ジャンプ」が今年で50周年を迎えるのを記念して、創刊から現在までの歴史を振り返る展覧会、「週刊少年ジャンプ展」の第2弾を開催!
90年代に掲載され大人気を博し、世界中で今なお愛される「ジャンプヒーロー」たちが六本木に集結!ジャンプが誇るマンガ家たちが全身全霊を込めて描いた肉筆原画や作品の世界観を凝縮した展示物を一挙公開!最大発行部数653万部を記録し、日本出版史上にも燦然と輝く1990年代の「週刊少年ジャンプ」のエネルギーを体感できるマンガの祭典です。


創刊50周年を記念した、その創刊から現在までの歩みを記す展覧会「週刊少年ジャンプ展」。


待望の第2弾が遂に登場!
その名も「創刊50周年記念 週刊少年ジャンプ展VOL.2 −1990年代、発行部数653万部の衝撃−」!!
90年代に掲載され大人気を博し、世界中で今なお愛される「ジャンプヒーロー」たちが六本木に集結!
本展覧会は、ジャンプが誇るマンガ家たちが全身全霊を込めて描いた肉筆原画や作品の世界観を凝縮した展示物を一挙公開!
最大発行部数653万部を記録し、日本出版史上にも燦然と輝く1990年代の「週刊少年ジャンプ」のエネルギーを体感できるマンガの祭典でした!!


やはりいいですね「週刊少年ジャンプ」!
ドラゴンボール」「幽☆遊☆白書」「ジョジョ」などを読んでワクワクした気持ちを思い出します。
また、2018年7月17日(火)から2018年9月30日(日)まで『創刊50周年記念 週刊少年ジャンプ展VOL.3 2000年代〜、進化する最強雑誌の現在』が森アーツセンターギャラリーで開催されるので観に行く事が出来れば行きたいと思います。



特設サイト:https://shonenjump-ten.com/vol2.html


週刊少年ジャンプについて詳しく知りたい方は、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%80%B1%E5%88%8A%E5%B0%91%E5%B9%B4%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%97
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次回の更新は8月中旬頃を予定しております。

♯169 ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜


観 覧 日 : 2018年3月2日


会  場 : 東京都美術館


H  P : http://www.tobikan.jp/exhibition/2017_bruegel.html


展示作品 : ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜


期  間 : 2018年1月23日 〜 4月1日


料  金 : 1,600円 ・ 図録 2,200円


総展示作品数 : 101点  (内説明あり)38点・補足5


セクション(構成) : 7区画

            第1章 宗教と道徳

            第2章 自然のまなざし

            第3章 冬の風景と城砦

            第4章 旅の風景と物語

            第5章 寓意と神話

            第6章 静物画の隆盛

            第7章 農民たちの踊り


感想 :


 画家一族9人の作品が揃い踏みする本展には、16世紀のフランドル(現在のベルギーにほぼ相当する地域)を代表する画家ピーテル・ブリューゲル1世、聖書の世界や農民の生活、風景などを時に皮肉も交えながら描き、当時から高い評価を得ました。息子のピーテル2世、ヤン1世も父と同じ道を歩みました。長男のピーテル2世は人気の高かった父の作品の忠実な模倣作(コピー)を描き、次男のヤン1世は父の模倣にとどまらず、花など静物を積極的に描き、「花のブリューゲル」などと呼ばれ名声を得ました。さらにヤン1世の息子ヤン2世も、子供の頃から父の工房で絵を学んで画家となり、ヤン2世の息子たちもまた同じ道を歩み、ブリューゲル一族は150年に渡り画家を輩出し続けたのです。(ちなみに農民の生活を多く描き、本展にも出展されるダーフィット・テニールス2世は、ヤン1世の娘の夫です。)
本展では、このブリューゲル一族の作品を中心に、16、17世紀のフランドル絵画を見比べることで一族の全体像が見ることのできる貴重な機会となりました。
 また、それらほとんどが通常観ることが出来ない日本初公開となる貴重なプライベート・コレクションで、一族の画家たちが生み出した様々なジャンルの作品およそ100点を展示。出展作品には縦・横30cm未満の比較的小さな作品が多く含まれており一族の得意とした細密描写はいずれも驚くほど細部まで描きこまれていました。代々受け継がれた細密な描写はさすがです。

直近でも♯159や♯161で観ていますが、やはり一族揃い踏みはとても良かったです。


ブリューゲル一族の系譜


バベルの塔》マールテン・ファン・ファルケンボルフ、ヘンドリク・ファン・クレーフェ


ノアの箱舟への乗船》ヤン・ブリューゲル1世


《地上の楽園》ヤン・ブリューゲル2世


《机上の花瓶に入ったチューリップと薔薇》ヤン・ブリューゲル1世 ヤン・ブリューゲル2世


《蝶、カブトムシ、コウモリの習作》《蝶、コウモリ、カマキリの習作》ヤン・ファン・ケッセル1世


《農民の婚礼(6点連作)》マーテル・ファン・クレーフェ


《野外での婚礼の踊り》ピーテル・ブリューゲル2世


特設WEBサイト:http://www.ntv.co.jp/brueghel/

ブリューゲルについて詳しく知りたい方は、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%AA%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B2%E3%83%AB
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♯168 日本スペイン外交関係樹立150周年記念 プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光


観 覧 日 : 2018年3月2日


会  場 : 国立西洋美術館


H  P : http://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2018prado.html


展示作品 : 日本スペイン外交関係樹立150周年記念 プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光


期  間 : 2018年2月24日 〜 5月27日


料  金 : 1,600円 ・ 図録 2,700円


総展示作品数 : 70点(内説明あり)37点 、補足説明 4


セクション(構成) : 8区画

            Ⅰ.芸術|THE ART

            Ⅱ.知識|THE KNOWLEDGE

            Ⅲ.神話|THE MYTHOLOGY

            Ⅳ.宮廷|THE COURT

            Ⅴ.風景|THE LANDSCAPE

            Ⅵ.静物|THE STILL LIFE

            Ⅶ.宗教|THE RELIGION

            *.芸術理論|THE ART THEORY

☆五つを満点とする


 評価  ☆☆☆☆☆


感想 :

マドリードにあるプラド美術館は、スペイン王室の収集品を核に1819年に開設された、世界屈指の美の殿堂です。
今特別展は、同美術館の誇りであり、西洋美術史上最大の画家のひとりであるディエゴ・ベラスケス(1599-1660年)の作品7点を軸に、17世紀絵画の傑作など61点を含む70点を紹介していました。


17世紀のスペインは、ベラスケスをはじめリベーラ、スルバランやムリーリョなどの大画家を輩出しました。彼らの芸術をはぐくんだ重要な一因に、歴代スペイン国王がみな絵画を愛好し収集したことが挙げられます。国王フェリペ4世の庇護を受け、王室コレクションのティツィアーノルーベンスの傑作群から触発を受けて大成した宮廷画家ベラスケスは、スペインにおいて絵画芸術が到達し得た究極の栄光を具現した存在でした。
今特別展はそのフェリペ4世の宮廷を中心に、17世紀スペインの国際的なアートシーンを再現し、幅広いプラド美術館のコレクションの魅力をたっぷりと楽しめたと思います。


全体的に黒を基調とした作品が多かったですが心地よい感じでした。
人物画、静物画や宗教画など様々な作品が観れて良かったです。


ディエゴ・ベラスケスマルス


ディエゴ・ベラスケス《狩猟服姿のフェリペ4世》


ディエゴ・ベラスケス《バリェーカスの少年》


ディエゴ・ベラスケス王太子バルタサール・カルロス騎馬像》


ディエゴ・ベラスケスについて詳しく知りたい方は、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A8%E3%82%B4%E3%83%BB%E3%83%99%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%82%B1%E3%82%B9
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♯167 神聖ローマ帝国皇帝ルドルフ2世の驚異の世界展


観 覧 日 : 2018年3月2日


会  場 : Bunkamura ザ・ミュージアム


H  P : http://www.bunkamura.co.jp/museum/past/


展示作品 : 神聖ローマ帝国皇帝ルドルフ2世の驚異の世界展


期  間 : 2018年1月6日 〜 3月11日


料  金 : 1,600円 ・ 図録 2,400円


総展示作品数 : 143点+参考出品3点・特別展示6点  (内説明あり)78点


セクション(構成) : 6区画

            プロローグ ルドルフ2世とプラハ 

            第1章 拡大される世界 

            第2章 収集される世界

            第3章 変容する世界

            エピローグ 驚異の部屋 

            特別展示 フィリップ・ハース 


☆五つを満点とする


 評価  ☆☆☆☆☆


感想 :

プラハに宮廷を構え、神聖ローマ帝国皇帝として君臨したハプスブルク家のルドルフ2世(1552−1612)は、稀代の収集家として、また芸術の庇護者として知られています。16世紀末から17世紀初頭、彼の宮廷には世界各地から優れた人物たちが集結し、芸術作品、あるいは科学機器などのあらゆる優れた創作物、更には新たに発見された珍奇な自然物などが集められ、文字通り「驚異の部屋」とでも呼ぶべき膨大なコレクションが形成され、当時のヨーロッパの芸術文化の一大拠点ともなりました。本展ではジュゼッペ・アルチンボルドを始め、ルドルフ2世が愛好した芸術家たちの作品を中心に、占星術錬金術にも強い関心を示した皇帝の、時に魔術的な魅力に満ちた芸術と科学の世界が紹介されていました。


♯160のアルチンボルドも展示されていました。
さすが収集の賜物、素晴らしい作品が展示されておりとても良かったです。


ルーラント・サーフェリー 《動物に音楽を奏でるオルフェウス


ヨーリス・フーフナーヘル 《人生の短さの寓意(花と昆虫のいる二連画)》(部分)


ジュゼッペ・アルチンボルド《ウェルトゥムヌスとしての皇帝ルドルフ2世像》


ディルク・ド・クワード・ファン・ラーフェステイン《ルドルフ2世の治世の寓意》


HP:http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/18_rudolf/


次回の更新は5月下旬頃を予定しております。