♯173 生誕120年 イスラエル博物館所蔵 ミラクルエッシャー展
観 覧 日 : 2018年6月10日
会 場 : 上野の森美術館
H P : http://www.ueno-mori.org/exhibitions/article.cgi?id=857622
展示作品 : 生誕120年 イスラエル博物館所蔵 ミラクルエッシャー展
期 間 : 2018年6月6日 〜 7月29日
料 金 : 1,600円 ・ 図録 2,700円
総展示作品数 : 152点 (内説明あり)49点
セクション(構成) : 9区画
1.科学 Scientific Explorations
2.聖書 Legend and Religion
3.風景 Landscapes
4.人物 The Human Figure
5.広告 Applied Graphic Designs
6.技法 Techniques and their Secrets
7.反射 Reflections
8.錯視 Optical lllusions
Epilogue.循環する世界
感想 :
「だまし絵(トロンプ・ルイユ)」で知られる20世紀を代表する奇想の版画家、マウリッツ・コルネリス・エッシャ−(1898-1972)。
コンピュータのない時代に「版画」で作られた緻密かつ独創的で"ミラクル"な作品は、数学者や建築家といった幅広い専門家やクリエイターに影響を与え、今もなお多くの人々を魅了し続けています。
生誕120年を記念し開催する本展では、世界最大級のエッシャーコレクションを誇るイスラエル博物館から選りすぐりの約150点を日本初公開。実際にありそうで、現実的にはない風景である《滝》、ぐるぐると歩いているかのようでつながっていない《相対性》など代表作のほか、代表的なだまし絵の作品に加え、初期の作品や木版、直筆のドローイングなどから、エッシャーが唯一無二と評される作品を生み出す過程を、【8つのキーワード】を通じて紐解いていきます。
デジタル時代の今だからこそ、「版画」にこだわり続けたエッシャーの偉業を再認識できる貴重な機会となることでしょう。
1.エッシャーと『科学』
エッシャーの版画では、特定のモティーフが反復しながら循環したり、ときにタイル状に埋め尽されるなど、幾何学的な独自の表現が用いられています。エッシャーはこれらの表現を生み出すために、同時代の「科学」から着想を受け、独自の数学的な理論を発展させました。
この章では、エッシャー版画に現れるさまざまな幾何学的表現を紹介します。
2.エッシャーと『聖書』
この章では、若い頃エッシャーが描いたキリスト教主題の版画を取り上げます。旧約聖書創世記を扱った連作には、19世紀後半から20世紀初頭にヨーロッパで流行したアール・デコ様式からの影響を見ることができます。
3.エッシャーと『風景』
エッシャー独特の、写実的かつ不可思議な印象を与えるイメージの源泉となったのは、彼の風景体験でした。1920年代からイタリア、スペイン旅行、特にアルハンブラ宮殿での幾何学な装飾模様との出会いは、後のパターン化されたモティーフ表現の原点となりました。そして地中海を描いたピクチャレスクな風景版画は、後に登場する視覚的な実験を先取りしたものとなっています。
4.エッシャーと『人物』
エッシャー版画に登場する人物像は、しばしば反復されるパターンのモティーフの一つとして画面に登場しますが、初期のエッシャーは、単身の人物表現にも取り組んでいます。この章で紹介する人物像の多くは、家族や近しい人々を扱っていますが、同時に自分自身の姿もさまざまな方法でモティーフとしていました。
5.エッシャーと『広告』
エッシャーの造形は商業デザインにも登場します。この章では、商用として利用されたイメージとともに、エッシャーらしさが凝縮された小さなグリーティングカードもご紹介します。
6.エッシャーと『技法』
自らを「芸術家」ではなく「版画家」と考えていたエッシャーは、木版、木口木版、リトグラフ、そしてメゾティントなどさまざまな版画技法に取り組み、それらの技法を高度に発展させ、時に複数の技法を統合させながら、不可思議な世界を繊細な彫りと印刷で実現し、不可思議な版画空間を作り出しました。この章では、多種多様な作例、マテリアルとともにエッシャーの版画技法を紹介します。
7.エッシャーと『反射』(鏡面イメージ)
エッシャーの作り出す不可思議な世界の特徴の一つが、「鏡面」のイメージです。鏡像を用いた絵画は、ヨーロッパでは近代以前から数多く描かれました。エッシャーもまた、現実世界にあるモティーフ/人物像と、仮想世界としての鏡像の共存するイメージを描くことに夢中になっていたのです。
8.エッシャーと『錯視』
エッシャー芸術を代表する要素が、実現不可能な建築表現や、永遠に変化し続けるパターンを描いたイメージなどの「ありえない世界」です。この独創的な表現は、当時の数学者が発表した不可能な図形に着想を得たものもあり、正則分割を用いた循環する表現とともに、エッシャーが長年にわたり独自発展させた理論が形になったものです。
Epilogue.循環する世界
エッシャーが1939-40年に生み出した大作《メタモルフォーゼⅡ》。文字から始まり、様々な形態が変容しながら循環し続け、やがて最初の文字へと戻るこの表現は、エッシャー芸術の極点を示しています。
錯視といえばエッシャー。
♯002や♯106でも観ていますがその精緻さと錯視を起こす模様はさすがの一言ですね。
今回はありませんでしたが、以前観た展示でとても印象に残っているのは実際に錯視の作品を立体化し、一定の位置から観ると展示作品と同じに観えるという展示がされていました。
また、展示されれば観たいと思います。
《バベルの塔》1928年
マウリッツ・エッシャーについて詳しく知りたい方は、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%A6%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%84%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%BC
をクリックして下さい。(ウィキペディア)
次回の更新は11月中旬頃を予定しております。