siseiryu美術館・博物館放浪記

今までに観に行った美術館・博物館などの記録です。

♯184 奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド

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観 覧 日 : 2019年3月21日

会  場 : 東京都美術館

H  P : https://www.tobikan.jp/exhibition/2018_kisounokeifu.html

展示作品 : 奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド

期  間 : 2019年2月9日 ~ 4月7日

料  金 : 1,600円 ・ 図録 2,700円

総展示作品数 : 後期 82点〔前後期 113点〕 (内説明あり)後期 26点

セクション(構成) : 8区画

 ・幻想の博物誌 伊藤若冲(1716-1800)

 ・醒めたグロテクス 曽我蕭白(1730-1781)

 ・京のエンターテイナー 長沢芦雪(1754-1799)

 ・執念のドラマ 岩佐又兵衛(1578-1650)

 ・狩野派きっての知性派 狩野山雪(1590-1651)

 ・奇想の起爆剤 白隠慧鶴(1685-1768)

 ・江戸琳派の鬼才 鈴木其一(1796-1858)

 ・幕末浮世絵七変化 歌川国芳(1797-1861)

感想 :

本展は、1970年に刊行された美術史家・辻惟雄による『奇想の系譜』に基づく、江戸時代の「奇想の絵画」の決定版です。岩佐又兵衛狩野山雪伊藤若冲、曽我蕭白長沢芦雪歌川国芳に、白隠慧鶴、鈴木其一を加えた8人の代表作を一堂に会し、重要文化財を多数含む展示となっています。豊かな想像力、奇想天外な発想にみちた江戸絵画の魅力を紹介。現代の目を通した新しい「奇想の系譜」を発信します。


○みどころ
美術史家・辻惟雄氏(1932-)が、今から約半世紀前の1970年に著した『奇想の系譜』。本展はその著作に基づいた、江戸時代の「奇想の絵画」展の決定版です。『奇想の系譜』で採り上げられたのは、それまで書籍や展覧会でまとまって紹介されたことがなかった、因襲の殻を打ち破った、非日常的な世界に誘われるような絵画の数々でした。
本展では、同書で紹介された、岩佐又兵衛狩野山雪伊藤若冲、曽我蕭白長沢芦雪歌川国芳に、白隠慧鶴、鈴木其一を加えた8人の作品を厳選したラインナップになっています。
近年の「若冲ブーム」、「江戸絵画ブーム」、ひいては「日本美術ブーム」の実相をご存知の方も、またこの展覧会ではじめて魅力的な作品に出会うことになる方にも、満足いただける内容を目指しました。奇想天外な発想にみちた作品の数々を紹介し、現代の目を通した新たな「奇想の系譜」を発信する本展において、江戸絵画の斬新な魅力をご堪能ください。


美術史家・辻惟雄氏(1932〜)が、今から半世紀近く前の1970年に著した『奇想の系譜』。そこに紹介されたのは、それまでまとまって書籍や展覧会で紹介されたことがない、因襲の殻を打ち破り意表を突く、自由で斬新な発想で、非日常的な世界に誘われる絵画の数々でした。それから半世紀近くたった現在では、かつては江戸時代絵画史の傍流とされてきた画家たちが、その現代に通じる革新性によって熱狂的ともいえる人気を集めています。

本展では『奇想の系譜』で取り上げられた6名の画家、岩佐又兵衛狩野山雪伊藤若冲、曽我蕭白長沢芦雪歌川国芳の他に白隠慧鶴、鈴木其一を加えました。

8名それぞれの画家の作品を厳選し、近年の「若冲ブーム」、「江戸絵画ブーム」、ひいては「日本美術ブーム」の実相をご存じの方にも、またこの展覧会ではじめて魅力的な作品に出会うことになる方にも、満足していただける内容を目指しました。現代の私たちの目を通して、新たな「奇想の系譜」を発信することで、豊かな想像力、奇想天外な発想に満ちた江戸絵画の新たな魅力を紹介します。


1江戸時代の奇想画家
8名の代表作が勢揃い!

岩佐又兵衛狩野山雪白隠慧鶴、伊藤若冲、曽我蕭白長沢芦雪、鈴木其一、歌川国芳。自由で斬新な個性を発揮した画家の系譜をたどります。


2新発見、初公開の作品に注目

若冲《梔子くちなし雄鶏図》《鶏図押絵貼屏風》や芦雪《猿猴弄柿えんこうろうし図》など、新発見や初公開の作品が多数出品されます。


3海外からの出品も多数、
そして初の里帰り作品も

著名なプライス・コレクションから若冲、芦雪、其一の優品が出品されます。
そして米国・キャサリン&トーマス・エドソンコレクションより、其一の《百鳥百獣図》が初の里帰りを果たします。


伊藤 若冲 〔いとうじゃくちゅう〕(1716-1800)
幻想の博物誌
京都の青物問屋の長男として生まれ、40歳で家督を弟に譲り画業に専念。40代前半から約10年をかけ完成させた「釈迦三尊像」3幅と「動植綵絵」30幅を相国寺に寄進した。写実と幻想を巧みに融合させ、濃密な色彩を使い精緻に描かれた花鳥画から、墨の濃淡を自在にあやつり、確かな画力を駆使して描かれた水墨画まで、個性的で多彩な作品を数多く遺している。


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伊藤若冲<旭日雄鶏図>


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伊藤若冲<虎図>


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曽我 蕭白〔そがしょうはく〕(1730-1781)
醒めたグロテスク
京都の商家に生まれ、伊勢や播磨を放浪した後、40歳を過ぎて京都に定住。18世紀京都画壇の鬼才たちの中でも、最も激烈な表現を指向した。20代後半には、室町時代の曽我派の直系にあたると自称して曽我姓を名乗った。漢画を学び中国の仙人や聖人といった伝統的な故事を多く描いているが、その表現は独創的で狂気に満ち、時に見る者の神経を逆なでし、混沌の渦へと落とし入れる。


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曽我蕭白<雪山童子図>


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曽我蕭白<群仙図屏風>(左)
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曽我蕭白<群仙図屏風>(右)


長沢 芦雪〔ながさわろせつ〕(1754-1799)
京みやこのエンターテイナー
京都・篠山の下級武士の子として生まれ、円山応挙に師事。応挙が創った写生画法を忠実にたどる弟子がほとんどを占める中で、大胆な構図と才気あふれる奔放な筆法で独自の画境を切り開き、エンターテイナー的な遊び心ある個性的な作品を多数遺している。


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岩佐 又兵衛〔いわさまたべえ〕(1578-1650)
執念のドラマ
戦国武将・荒木村重の子として生まれ、一族の滅亡後、母方姓「岩佐」を名乗り、京都で絵師として活動を始める。北庄(福井市)に移住し、20余年を過ごした後、寛永14年(1637)、三代将軍徳川家光の娘千代姫の婚礼調度制作を命じられ、江戸に移り住み、そこで波乱に満ちた生涯を終えた。大和絵と漢画双方の高度な技術を完璧に修得し、どの流派にも属さない個性的な感覚に長け、後の絵師に大きな影響を与えた。


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狩野 山雪 〔かのうさんせつ〕(1590-1651)
狩野派きっての知性派
九州肥前国の生まれで、京狩野の狩野山楽に16歳の頃弟子入りし、その後婿養子となる。妙心寺など京都の大寺院のための作画を多く遺した。伝統的な画題を独自の視点で再解釈し、垂直や水平、二等辺三角形を強調した理知的な幾何学構図で知られる。日本で最初の本格的な画家伝である『本朝画史』は、山雪の草稿を元に息子の狩野永納が完成させた。


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白隠 慧鶴 〔はくいんえかく〕(1685-1768)
奇想の起爆剤
臨済宗中興の祖と呼ばれる禅僧。駿州原宿(現在の沼津市)に生まれ、15歳のときに出家。「不立文字(言葉に頼るな)」といわれる禅宗において、白隠は夥おびただしい数の禅画や墨跡を遺している。職業画家ではない、仏の教えを伝える手段として描かれた一見ユーモラスで軽妙、かつ大胆な書画は、蕭白、芦雪、若冲など18世紀京都画壇・奇想の画家たちの起爆剤となった。


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白隠慧鶴<達磨図>


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白隠慧鶴<すたすた坊主図>


鈴木 其一〔すずききいつ〕 (1796-1858)
江戸琳派の鬼才
尾形光琳に私淑した江戸琳派の祖、酒井抱一の忠実な弟子としてしばしば代作もつとめるほどだったが、師の没後は個性的な作風に傾斜していった。自然の景物を人工的に再構成する画風は、抱一の瀟洒な描写とは一線を画し、その奇想ぶりが近年急速に再評価されつつある。


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鈴木其一<夏秋渓流図屏風>(左)
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曽我蕭白<群仙図屏風>(右)


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鈴木其一<百鳥百獣図>(左)
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鈴木其一<百鳥百獣図>(右)


歌川 国芳 〔うたがわくによし〕(1797-1861)
幕末浮世絵七変化
江戸本銀町生れ。文政末期「通俗水滸伝豪傑百八人之壷個」シリーズで人気を博す。役者絵の国貞、風景画の広重と並び、武者絵の国芳として第一人者となった。戯画、美人画、洋風風景画にも発想の豊かな近代感覚を取り込む一方、役者絵や風刺画など、幕府の取り締まりをかいくぐり、機知に富んだ作品で庶民の支持を博した。


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歌川国芳宮本武蔵の鯨退治>


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歌川国芳<猫の当字 ふぐ>


なかなか個性豊かな方々の作品が展示されておりました。
割とポピュラーな伊藤 若冲歌川国芳以外の作品大胆かつ緻密な感じがとても良かったです。
また色々な展示を観に行きたいなと思いました。


次回の更新は12月中旬又は下旬頃を予定しております。