siseiryu美術館・博物館放浪記

今までに観に行った美術館・博物館などの記録です。

♯162 地獄絵ワンダーランド


観 覧 日 : 2017年8月19日


会  場 : 三井記念美術館


H  P : http://www.mitsui-museum.jp/exhibition/list.html


展示作品 : 地獄絵ワンダーランド


期  間 : 2017年7月15日 〜 9月3日


料  金 : 1,300円 ・ 図録 2,000円


総展示作品数 : 102点  (内説明あり)46点


セクション(構成) : 5区画

            第1章 ようこそ地獄の世界へ
                *入口はのんのんばあと地獄めぐり
                *往生要集の世界
                *写真画像展示
                *六道・地獄の光景

            第2章 地獄の構成メンバー
                *閻魔王・十王・地蔵菩薩

            第3章 ひろがる地獄のイメージ
                *山のなかの地獄
                *「心」と地獄
                *地獄めぐりの物語
                *「ひろがる地獄のイメージ」から「地獄絵ワンダーランド」へ
                *「心」字の展開

            第4章 地獄絵ワンダーランド

            第5章 あこがれの極楽
                *厭離穢土・欣求浄土

            
☆五つを満点とする


 評価  ☆☆☆☆☆


感想 :

仏教の世界観である地獄と極楽は、平安時代源信が著した『往生要集』により具体的なイメージが与えられ、絵画・彫刻などの多彩な作品が生まれました。この展覧会では地獄と極楽の美術を通じて、日本人が抱いてきた死生観・来生観をたどります。なかでも近世以降、民間で描かれた「たのしい地獄絵」や、水木しげる「のんのんばあ地獄めぐり」などにも焦点をあて、「地獄絵ワンダーランド」を楽しむ特別展です。


絵画や仏像などを通して地獄思想の変遷をたどる「地獄絵ワンダーランド」展は、古くは中国の南宋・元時代に描かれた重要文化財の絵画から、新しいものは漫画家・水木しげる(1922〜2015年)のイラスト原画まで約90件の作品で、恐怖とユーモアを交えた「地獄めぐり」が楽しめる企画展です。
インドで生まれた六道輪廻(りんね)の他界観のなかで最悪所である地獄は、日本に入り平安期、比叡山の高僧・源信(942〜1017年)の「往生要集」によって世に広まり、貴族たちはその悲惨な光景を地獄草紙などにリアルに描かせた。だから、平安期から鎌倉期の地獄絵は苦しみを克明に描いた冷徹さが見どころでした。
鎌倉期には中国から輸入された十王図で死者の審判をする閻魔(えんま)など十王の仕組みがもたらされた。本来、冥界(めいかい)を司(つかさど)るインドの閻魔天が中国に入って道教の思想と交わることで生まれたのが十王。それは滋賀・新知恩院の六道絵の地獄絵に描かれた裁判官たちが、中国の役人の衣装であることからもうかがえます。
16世紀に入ると、日本独自の地獄の表現が登場し山岳信仰に基づいたものや女性信者に特化したものなどで、忌むべき地獄が日本人の精神性と結びつき、多様な造形として生まれたのもこの時代です。
中世末期から近世に入るころには、寺社が庶民への布教に力を入れはじめ、仏画にもわかりやすい図解が求められるようになり、素朴で愛嬌(あいきょう)のあるものが描かれるようになりました。いわば「ヘタウマ」な地獄絵です。さらに、文化が円熟すると、地獄は文人たちのパロディーの対象にもり、白隠(1686〜1768年)の「地獄極楽変相図」などは双方の性格をあわせもったものだそうです。
木喰上人の十王坐像などを含め、こうした死への恐れを超越した魅力ある作品群は、現代の水木作品へと連なってきたそうです。


みなさんは地獄の裁判官で閻魔大王以外に知っていますか?
地獄の裁判は初七日『秦広王(しんこうおう)』、二七日『初江王(しょこうおう)』、三七日『宋帝王(そうていおう)』、四七日『五官王(ごかんおう)』、五七日『閻魔王』、六七日『変成王(へんじょうおう)』、七七日『太山王(たいざんおう)』、百日『平等王(びょうどうおう)』、一年『都市王(としおう)』、三年『五道転輪王(ごどうてんりんおう)』という十王(じゅうおう)から成り立っているそうです。
地獄も八大地獄は136種類と様々な地獄があるそうです。

話は逸れますが、♯149でアップしていますが地獄を題材にした『鬼灯の冷徹』という漫画があります。
上記の内容などを踏まえ作られた作品でとても面白いので興味を持たれた方は一度観て見てもどうでしょうか。


『水木少年とのんのんばあの地獄めぐり』より「表紙」 紙本着色 1枚


『水木少年とのんのんばあの地獄めぐり』より「閻魔大王」 紙本着色 1枚


往生要集


六道絵 紙本着色 6幅


熊野歓心十界曼荼羅 紙本着色 1幅


木造 十王像・葬頭河婆像・白鬼像 12躯 木喰(1718〜1810)作


地蔵・十王図


阿弥陀二十五菩薩来迎図 絹本着色 1幅


水木しげるについて詳しく知りたい方は、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B4%E6%9C%A8%E3%81%97%E3%81%92%E3%82%8B
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