♯159 ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル「バベルの塔」展 16世紀ネーデルラントの至宝−ボスを超えて−
観 覧 日 : 2017年6月25日
会 場 : 東京都美術館
H P : http://www.tobikan.jp/exhibition/2017_babel.html
展示作品 : ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル「バベルの塔」展 16世紀ネーデルラントの至宝−ボスを超えて−
期 間 : 2017年4月18日 〜 7月2日
料 金 : 1,600円 ・ 図録 2,500円
総展示作品数 : 89点 (内説明あり)26点
セクション(構成) : 8区画
Ⅰ.16世紀ネーデルラントの彫刻
Ⅱ.信仰に仕えて
Ⅲ.ホラント地方の美術
Ⅳ.新たな画題へ
Ⅴ.奇想の画家ヒエロニムス・ボス
Ⅵ.ボスのように描く
Ⅶ.ブリューゲルの版画
Ⅷ.「バベルの塔」へ
☆五つを満点とする
評価 ☆☆☆☆☆
感想 :
「バベルの塔」展ですが副題に「16世紀ネーデルラントの至宝―ボスを超えて」とある通り、ブリューゲルのみならず、彼が手本とした先駆者ヒエロニムス・ボスの油彩2点、そして彼らが生きた時代、16世紀ネーデルラントの絵画、版画、彫刻を全体で約90点の出品作がありました。
迫真の写実と輝くような美しい色彩が印象的な油彩絵画、ボスの怪物モチーフが所狭しと、描かれる版画作品、そして木彫の粋を尽くした彫刻作品など、16世紀ネーデルラント美術の精華が観れました。
また、新しい試みとして作品を美しく見やすく展示することに加え、東京藝術大学COI拠点の特別協力により芸術と科学技術を融合させ、原寸を約300%拡大したブリューゲル「バベルの塔」の複製画が展示され、同拠点は「バベルの塔」の3DCG動画も制作し、多様なメディアを駆使してこの傑作の魅力に迫りました。
今回の展示ではブリューゲル1世作、《バベルの塔》の驚異の写実を実見できます。一説には画面上に描かれた人々の数は1,400人と言われ、細密なだけでなく、圧倒的なボリュームと迫真性を備えた世紀の傑作を観る事が出来ました。
「奇想の画家、ボス」の油彩画2点が初来日し、2016年はボス没後500年に当たり、欧米ではボス・ブームが起きています。世界中で約25点しかないとされるボスの真作2点が日本で初めて鑑賞できる、めったにない機会でした。
そして、ボスの影響を受けた16世紀の銅版画、とくにブリューゲル下絵の銅版画を多数見られ、私たちの想像力を刺激するたくさんの怪物(モンスター)が登場します。頭足人間(グリロス)など、奇怪な生き物の数々を観るれました。
最後に、16世紀ネーデルラントの絵画、彫刻の歴史を一覧し、15世紀後半から16世紀にかけてはネーデルラントの美術の中心は南から北に移り、それまでの宗教絵画から風景画、風俗画に変わっていきました。この変遷を優れた作品でたどれる特別展でした。
最後の審判(ヒエロニムス・ボスの画風の模倣)
最後の審判(ヒエロニムス・ボスの画風の模倣)
聖アントニウスの誘惑(ピーテル・ブリューゲル1世)
大きな魚は小さな魚を食う(ピーテル・ブリューゲル1世)
大食(ピーテル・ブリューゲル1世)
邪淫(ピーテル・ブリューゲル1世)
忍耐(ピーテル・ブリューゲル1世)
最後の審判(ピーテル・ブリューゲル1世)
キリストの冥府への下降(ピーテル・ブリューゲル1世)
金銭の戦い(ピーテル・ブリューゲル1世)
バベルの塔(ピーテル・ブリューゲル1世)
大友克洋『INSIDE BABEL』 デジタルコラージュ:河村康輔 2017年
大友克洋『INSIDE BABEL下絵(奥1)』 2017年
公式HP:http://babel2017.jp/
ピーテル・ブリューゲルについて詳しく知りたい方は、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%83%BC%E3%83%86%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%96%E3%83%AA%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B2%E3%83%AB
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次回の更新は12月中旬頃を予定しております。