siseiryu美術館・博物館放浪記

今までに観に行った美術館・博物館などの記録です。

♯155 シャセリオー展―19世紀フランス・ロマン主義の異才


観 覧 日 : 2017年4月2日


会  場 : 国立西洋美術館


H  P : http://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2017chasseriau.html


展示作品 : シャセリオー展―19世紀フランス・ロマン主義の異才


期  間 : 2017年2月28日 〜 5月28日


料  金 : 1,600円 ・ 図録 2,700円


総展示作品数 : 125点  (内説明あり)70点


セクション(構成) : 5区画

            1|アングルのアトリエからイタリア旅行まで 

            2|ロマン主義へ−文学と演劇

            3|画家を取り巻く人々 

            4|東方の光

            5|建築装飾−寓意と宗教主題


☆五つを満点とする


 評価  ☆☆☆☆☆


感想 :


本展はフランス・ロマン主義の異才テオドール・シャセリオー(Théodore Chassériau 1819-1856)の芸術を日本で初めて本格的に紹介するものです。


アングル門下の異端児テオドール・シャセリオーは、10代の初めに師に入門を許された早熟の天才ですが、ロマン主義の潮流の中でしだいにアングルの古典主義を離れ、独特のメランコリックな情熱と抒情を湛えた作品世界を作りあげていきました。アルジェリアを旅して彼の地の人々や風物を色彩豊かに描いたシャセリオーはオリエンタリスム(東方趣味)の画家にも数えられます。しかしカリブ海のスペインの旧植民地に生まれ、父親不在の寂しさや師との芸術的葛藤を抱えつつ独自の芸術の道を模索したこの画家自身が内面に異邦的(エキゾティック)なるものを持っていました。神話や聖書、シェイクスピア文学の一場面にせよ、東方主題にせよ、あるいは人々の肖像にせよ、いずれの作品にも漂う「エキゾティスム」こそがシャセリオー芸術の本質であり、観る者の心に響きます。


今日ではフランス・ロマン主義を代表する画家に数えられるシャセリオーですが、37歳で早逝したことや代表作の壁画が破壊されたこともあって正当な評価が遅れ、フランスでも回顧展の開催は1933年と2002年を数えるのみです。本展では、ルーヴル美術館所蔵品を中心に、絵画約40点、水彩・素描約30点、版画約10点、写真や資料などによってシャセリオーの画業全体を紹介するとともに、師や仲間、そしてこの画家から決定的な影響を受けたギュスターヴ・モローやピュヴィス・ド・シャヴァンヌらの作品約20点もあわせて展示し、ロマン主義から象徴主義への展開、そしてオリエンタリスムの系譜のなかでその芸術の意義を再考します。今回の展覧会は、フランスでもその作品をまとめて見る機会が少ないシャセリオーの作品世界に触れる絶好の機会でした。


気になって観に行って来ました。
普段観ている作品とは少し雰囲気が異なった作品が観れる事が出来、また個人的にも好きなギュスターヴ・モローも合わせて観れて良かったです。


テオドール・シャセリオー「アポロンとダフネ」


テオドール・シャセリオー「泉のほとりで眠るニンフ」


テオドール・シャセリオー「政治家にして公法学者のアレクシ・ド・トクヴィルの肖像」


テオドール・シャセリオー「カバリュス嬢の肖像」


テオドール・シャセリオー「コンスタンティーヌユダヤ人女性」


ギュスターヴ・モロー「若者の死」


テオドール・シャセリオーについて詳しく知りたい方は、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%82%AA%E3%83%89%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%82%BB%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%83%BC
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