siseiryu美術館・博物館放浪記

今までに観に行った美術館・博物館などの記録です。

♯134 俺たちの国芳 わたしの国貞


観 覧 日 : 2016年5月20日


会  場 : Bunkamura ザ・ミュージアム


H  P : http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/16_kuniyoshi/


展示作品 : 俺たちの国芳 わたしの国貞


期  間 : 2016年3月19日 〜 6月5日


料  金 : 1,500円 ・ 図録 2,500円


総展示作品数 : 170点  (内説明あり)55点


セクション(構成) : 区画

            一幕目の一 髑髏彫物伊達男
                  スカル&タトゥー・クールガイ 

            一幕目の二 物怪退治英雄譚
                  モンスターハンター&ヒーロー 

            一幕目の三 畏怖大海原
                  ホラー・オブ・ウォーター 

            一幕目の四 異世界魑魅魍魎
                  ゴースト&ファントム 

            一幕目の五 天下無双武者絵
                  サムライウォリアー

            二幕目の一 三角関係世話物
                  トライアングル・オブ・ラブ

            二幕目の二 千両役者揃続絵
                  カブキスター・コレクション 

            二幕目の三 楽屋裏素顔夢想
                  オフステージ

            二幕目の四 痛快機知娯楽絵
                  ザッツ・エンターテインメント

            二幕目の五 滑稽面白相
                  ファニー・ピープル

            二幕目の六 今様江戸女子姿
                  エドガールズ・コレクション

            二幕目の七 四季行楽案内図
                  フォーシーズン・レジャーガイド

            二幕目の八 当世艶姿
                  アデモード・スタイル


☆五つを満点とする


 評価  ☆☆☆☆☆



感想 :


浮世絵は幕末にいたり、表現も多様化して様々な展開をみせました。
絵師や版元は、消費者の飽くなき欲求に応じるべく、手を変え、品を変えて、その欲望に応えたのです。
だからこそ浮世絵は、時を経てより創造性に満ちた表現を手にしたといえるでしょう。
幕末の人気浮世絵師、国芳と国貞の兄弟弟子による名品の数々を同一テーマで比較展示することによって、彼らが消費者に対し、いかにして創意工夫を凝らしてきたかを知ることができます。
浮世絵は江戸の人々が求めたエンターテイメントを凝縮したメディアであり、現代の雑誌やポスター、ブロマイドとといえるでしょう。そこには物語世界で活躍するヒーローや憧れの歌舞伎役者たちが描かれています。
国芳ファンは、漢に憧れ、ヒーローたちの活躍する物語の世界にのめり込む江戸っ子ヤンキー層。個人より仲間に重きを置き、コミュニティを大切にする「俺たち」です。義理人情を優先する彼らに、理想の男の姿を見せてくれるのが"俺たちの国芳"。
一方、国貞の作品の中核は、江戸文化のメインストリームである歌舞伎をとりあげたものであり、そこに登場するキラキラと輝く男女に憧れる女性たちが思い浮かびます。国貞が描く世界は女性たちが各々に憧れ夢見る世界でもあり、いわば"わたしの国貞"なのです。


今までにも幾度か鑑賞している国芳、国貞の特別展です。
今回特に気に入ったのは、各セクションの大筋説明や作品の説明を違和感なく現代の言葉に置き換えた説明です。
堅苦しい言葉ではなく分かりやすくてたまにはいいなと思いました。
当然ながら作品も素晴らしくまた展示があれば観に行きたいと思います。


歌川国貞「当世三十弐相 よくうれ相」歌川国芳国芳もやう正札附現金男 野晒悟助」


歌川国芳「相馬の古内裏に将門の姫君滝夜叉妖術を以て味方を集むる大宅太郎光国妖怪を試さんと爰に来り竟に是を亡ぼす」


歌川国芳「讃岐院眷属をして為朝をすくふ図」


歌川国貞「見立三十六歌撰之内 在原業平朝臣 清玄」


歌川国芳「水瓶砕名誉顕図」


歌川国貞「八百屋お七」四代目市川小團次、「下女お杉」四代目尾上菊五郎、「土左衛門伝吉」初代河原崎権十郎


歌川国貞 「御誂三段ぼかし 浮世伊之助」三代目岩井粂三郎、「葉歌乃新」初代河原崎権十郎、「野晒語助」四代目市川小團次、「夢乃市郎兵衛」五代目坂東彦三郎、「紅の甚三」二代目澤村訥升、「提婆乃仁三」初代中村福助


歌川国貞 「踊形容楽屋之図 踊形容新開入之図」


歌川国芳 「荷宝蔵壁のむだ書」(黄腰壁)


歌川国芳 「江戸ノ花 木葉渡 早竹虎吉」


歌川国芳 「初雪の戯遊」


歌川国貞「見立邯鄲」


次回の更新は10月下旬頃を予定しております。